絵を描くときに、何ができて何ができないのか。8つに分解して示すこの著者は素晴らしいと思いました。
「絵のうまさ」というのは大きく分けて二つあります。(中略)
ひとつ目はテクニック的にうまいという場合。(中略)
もうひとつが、物の形を知っていることです。(中略)実はこの後者のうまさは非常に大事です。(17~18ページ、太字は引用者による)
初心者にとって救いなのは、具体的な方法とセットで、練習すればうまくなると書いてあることです。これは嬉しい。
絵を描くことは楽しいのですから「すぐに」上手くならなくてもいい。でも、このままのレベルでずっといくのは辛い。そういう時に「何をすればよいか」を示してくださるのは、大変ありがたいです。
また、有名な技法書(ジャック・ハム、ルーミス、ベティ・エドワーズ…)をあげて、使い方が紹介されています。素晴らしいです、しつこいようですが。
私が感激し、少々嫉妬もするのは、自分の領域でこういう仕事をしたいと思ったせいでしょう。
ソーシャルワークでも「アセスメント」と呼んだり、日常的な用語では「見立て」と言ったりします。要は、相手の生活を/置かれた状況を/直面している課題をどう「とらえるか」です。このとき物の形を知っているかは重要な要素となります。
実践でも教育でも「何をすればよいか」という具体的な方法を言葉にできているのだろうか。そんなことも考えさせる内容でした。
あとがき
いいタイトルですよね。すぐに上手くならないのは分かっているけど、いずれ上手くなりたい。そのための考え方と筋道がきちんと示された「看板に偽りなし」の本でした。