2019年1月、勤務する大学で実習報告会がありました。
約5週間の実習中、学生のあなたは、何かを感じたり、気持ちがザワつく場面があったと思います。そのときに感じたことを言葉にするのが大事という話をします。
現場では、驚いたりムッとしたり、状況が映像のように刻まれたり、音や感覚を覚えている場面があると思います。「感情が動く」のはあなたの感性に響いたということ、きっと後で「考えたいこと」があります。
でも、書き残すのは簡単ではないと感じるかもしれません。
書いたものは「誰か」が読むと思うと、想定する誰かの存在が、書こうとする言葉を止めてしまうのです。
実習ノートを読み返してみて、自分の考えたかったことは書かれていますか。
自分の考えというよりは、当たり障りない記述が並んでいるとしたら、もう一度「あなたの感じ方」を思い出してみましょう。
あなたにとって大事なことがテーマになる
実習後に学生が話してくれたことです(一部、編集しています)。
(事業所を利用する)○○さんが、どうしても~したくないと嫌がっていた。(事後学習で)○○さんのことを考えたいが、「マイナスイメージ」の言葉を使ってもいいものか気になっている。大丈夫でしょうか。
この学生は「拒否」の意思表示を大事にすることとは?というテーマになりました。
現場で経験したことを振り返るには、考える時間が必要です。
自分の言いたいことに、自分では気づきにくいこともあります。とくに「あまり触れない方がいいのでは」と思い悩み「空気を読んで」しまうと、言葉にするのが難しくなります。
だから、あなたを応援する担当教員がいるのです。
実践現場では自分の内面に触れる経験を
以前、私は「現場で学ぶ」ことを、外から知識を自分のなかに吸収することだと思っていました。
最近はこれに加えて、現場に立ったときに自分が照らし出される経験が大事だと考えています。
現場に立たせてもらったからこそ、自分の内面に何が響くのかを経験できる。外にある基準ではなく、内面の軸があぶり出される感じと言えばいいでしょうか。
私の思う「いい指導者」は、立場にかかわらず周りの人の「軸」を引き出す人です。実習中「あの指導者」と話すと安心する、意欲的になる、そんな人はいませんでしたか。
(実習の一日を振り返って)「今日はどうでしたか?」
実習指導者からこう質問されたときは、怖がらないでください。
「あなた」に聴きたいと思って、興味をもってかけた言葉なのだと思います。