「嫌な感情」を手放すメリット−水島広子『10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方』

著者の水島先生(精神科医)には、多くの著作があります。

この本を選んだ理由は、学生の困っていることを知りたかったから、そしてあなたが楽になるためのヒントを探したいと思ったからです。

「心の原則」が6つ紹介されているのですが、一つ目が「イヤな感情には役割がある」です。

嬉しかったり楽しいときはいいのですが、マイナスの感情をどう取り扱っていいか、困ることはありませんか。とても嫌で苦しいときは、そのエネルギーが高いので「取扱注意」だと思います。

最初のページに「この本では、10代に体験する「イヤな気持ち」の扱い方を学ぶ(p.3)」ことで、自分らしく気持ちよく生きていけるように、と書いてありました。

 「イヤな感情」の本来の役割である、「自分にとってよくないことが起こっていると気づき、結果として自分を守る」という形で活用できるようになると、ストレスを減らすこともできますし、人からも助けてもらいやすくなるでしょう。(p.20)

嫌な感情をもつことにメリットがある。あなたが意識していなかったとしても。

こう言われて、ああその通りとすぐ納得しなくても構いません。「自分を守ってくれている」。この部分について、少し本から離れて掘り下げていきます。

嫌な感情をもつメリットとデメリット

メリットは「自分を守っている気」になれること。一時的な安心感があることだと思います。

同時にこの「安心感」はニセモノではないかと私は疑っています。安心できているとしたら、嫌な感情が運んでくるザワつきは何?と感じます。

デメリットはすごく疲れること。「自分によくないことが起こる」と思って身構えれば、エネルギーを大量に消費しますよね。生き物として当然の反応なのだと思います。

私自身が大事にしているのは、自分を緩めてあげることです。「守らなければ」と肩肘張らなくていいよと自分に伝えてリラックスさせます。「嫌な感情」で防御をはった時点では、本当に「自分によくないこと」かなんて判断できないからです。

誰にも「いい悪い」は分からないのですから(予知能力はない)、守ろうとすること自体、必要ないはずです。だから恐がる気持ちをぐっとこらえます。

あなたにも、そんなに心配しなくてもよかったと後から思ったり、ムダに怒ってしまって後悔した経験はありませんか。

嫌な感情をもつデメリットは、防御が強すぎて事態が好転する道を閉ざしてしまうことだと思います。自分の可能性をせばめるのは、嫌ですよね。

嫌な感情を手放す

私は「イヤなモード」に入ってしまったとき、「ああ始まったな」と思うようにしています。イヤな感じが自分を埋め尽くす前に、外に逃がしてあげます。「恐れている自分」をもう一人の自分がなだめてあげる感覚です。

イヤなモードを脱すると気持ちが楽になりますし、「嫌な感情」を手放したときこそ「自分にとっていいこと」が起きるだろう。そんな心づもりで過ごしています。

  • まずは「嫌な感情」をもつことが「自分を守ってくれる」メリットになっているかどうか振り返ってみる
  • 次に、その「防御」を緩めたり壊したりする練習をして、自分の可能性がひらかれる機会(手放すメリット)を待つ

ぜひ試してみてください 。

10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方

10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方

 
あとがき

文字が大きく、とても読みやすいです。もう「10代」ではない学生さんにもお勧めします。